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まずいと伝えるやさしさ

今朝チェックアウトしたカナダ在住フランス人ゲスト。

 

 

 

彼は大きなバックパック一つで1年間の世界旅行中とのこと。

 

 

とても陽気な性格で見ているだけで笑顔になれるような人でした。

 

 

 

 

そんな彼はしばらく日本を旅するということで

 

少しずつ日本語を覚えようとしていました。

 

 

 

その国の言語のフレーズをいくつか知っているだけでも

 

旅って楽しくなりますもんね。

 

 

 

 

今日、彼からこんな質問を受けました。

 

 

 

日本ではレストランで美味しくないものが出てきたとき

「まずい」って言うの?

 

 

 

 

わたしは言わない!と即答しました。

 

 

近くに店員がいないときに小さい声で言ったりは

 

するかもしれないけど。と付け加えましたが。

 

 

ほとんどの日本人はそういうとき直接文句は言わず

 

もう1度その店に行くことがなくなるだけだと思います。

 

 

 

 

それを聞いた彼は少しだけ驚いてから

 

「知れてよかった!」と言いました。

 

 

 

 

彼は自分の国で、まずい料理を出された店では

 

シェフにそれを伝えるそうです。

 

 

それにはこんな理由があると教えてくれました。

 

 

 

 

お金を払って注文した料理なんだから

 

その金額に見合わなかったら不平を言うべき。

 

そして

 

それを正直に伝えることは

 

そのシェフやお店の今後のためになる。

 

 

 

 

 

 

そういえば昔ニュージーランドのコーヒーショップで働いていたとき

 

お客さまに「このコーヒーは terrable(ひどい)からつくり直して」

 

と言われたことがありました。

 

 

その時はお店がとても混んでいて焦っていたせいか

 

タッピング(フィルターに詰めたコーヒー粉を押し固める作業)が

 

あまくなってしまっていたんです。

 

 

 

それできちんと謝ってから丁寧に淹れたコーヒーには

 

満足してもらえて、最後には

 

お互い笑顔で"Thank you."と言い合えることができました。

 

 

 

 

 

 

日本人はよく「伝えないやさしさ」を優先しますが

 

そのお客さまと今朝のゲストは「伝えるやさしさ」を大切にしているんですね。

 

 

 

 

 

 

少し話がずれますが

 

 

日本には「空気を読む」という独特の文化があります。

 

 

言葉にしなくても気持ちを察するということです。

 

 

それは思いやりになることもありますが・・・

 

いったいどのくらいの人が正確に気持ちを察しているのでしょうか。

 

この文化のせいで必要のない心配や不安を抱くひとが多い

 

と思うのは私だけですか?

 

 

 

 

 

わたしたちは伝えることから逃げていると

 

よく思うのです。

 

 

 

 

先生や上司、先輩、家族からの注意は「愛がある」と

 

分かってもらえることも多いのでしやすいですが

 

他人への注意はどうですか?

 

 

たとえ相手が他人でも

 

その人を思ってする注意は「文句」ではなく「助言」です。

 

 

 

他人から「もっとこうしたらいいんじゃない?」と言われたとき

 

素直にその言葉を受け止められる人でありたいと思います。

 

 

 

そしてもし誰かに助言してあげたいときが来たら

 

勇気を出して伝えてみませんか?

 

 

ラッキーなことに日本語には

 

同じ内容でもバラエティ豊かな表現の仕方があります。

 

 

 

それを生かして、目いっぱいのやさしさを込めた表現で

 

だれかに助言できるひとは素敵だと思うのです。

 

 

 

 

今の周りの文化にとらわれず

 

どうすればなりたい自分でいられるか

 

常に考えていきたい、と思った朝でした。

 

 

 

 

The world is huge, but don't forget that we are ONE.

 

結菜